布哇道中膝栗毛
はじめまして、リオです。
このブログでは、ひょんなことから海外で数寄屋造の建物の現場で通訳をすることになったぼくが、そこで感じたおもしろいことや発見したことなどを、建築の素人の立場からそこはかとなく書いていこうと思います。
「数寄屋」という言葉の意味さえ知らなかった自分が、その洗練された意匠に魅了され、今では「推し砥石(といし)」ができるまでになったのですが(笑)、数寄屋建築の魅力をお伝えするには自分の表現力はあまりに乏しいという点については、これも「ワビ」のひとつとしてご寛恕ください。
さて、最初に苦労をしたのは、通訳をしようにも「大工さんたちの日本語」が分からないということでした。専門用語というものは往々にして、単に覚えればいいだけの話なのですが、表現が多様性に満ちていて、頭が「?」だらけになりフリーズしてしまうことが多々あります。
「納め方が下手やなぁ」 オサメカタ?治め方??マキャベリの君主論?
「えらい暴れてるなぁ」 アバレテル?誰が??警察呼びますか?
「そこは落とし掛けや」 オトシガケ?柔道か相撲か何かの技?
ありがたいことに大工さんたちはみなさんジェントルマンで、分からないことは何でも教えてくれました。どうやら日本国内でも西と東では意味が違ったりすることもあるようで、「大工語」の中にも「方言」があるそうです。
(この時、ぼくは「天ぷら」のことを考えていました。魚のすり身を揚げたものは関東で「さつま揚げ」と呼ばれるようですが、関西では「天ぷら」なのです。では小麦粉の衣をつけて揚げたものはと聞かれると、それも「天ぷら」です笑)
このように、分からないことはひとつひとつ毎回聞くことで、しらみつぶしに語彙を増やしていきました。分からないことがあるとすぐに「自分はダメだ」と考えてしまうメンタルの弱いぼくなのですが、分からないことのあまりの多さに圧倒され(笑)、分からないことに対してはっきりと「分かりません(ので教えてください)」と言えるようになったことは我ながら成長だと思っています!
次回は瓦で苦労した話です。
by RIO
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